取材させていただく蔵元「西海酒造」さんを紹介します。

清酒 空の鶴 醸造西海酒造株式会社

西海酒造株式会社は享保元年(1716年)の創業ですから、およそ300年の歴史がある蔵元さんで、「空の鶴」の醸造元です。兵庫県南部の、明石海峡大橋日本標準時子午線(東経135度)で知られる明石市の西部、魚住町に在ります。

西海酒造

前回も少し書きましたが、今でこそ米作りに取り組む蔵も多く見られるわけですが、西海酒造さんでは少なくとも現当主の祖父の代から酒造りと共に米作りもされていたそうです。

一般に昔から酒蔵は原料となる米は農家などから購入してお酒を造ります。それは今と違ってお米は先ず主食として消費される必然性からですが、農家と言っても豪農の庄屋さんなどはお酒を造る為の権利である酒造株を購入してお酒を造るケースもあった様です。

残念ながら創業から現在に至る詳しいことは古文書が無くよく分からないそうですが、創業時期が飢饉による酒造制限時期の元禄年間(~1704年)のすぐ後なので、西海酒造のご先祖様は休造していた酒蔵の酒造株(※)を購入して酒造りを始めた豪農だったのかもしれません。などと勝手に想像しています…。

そして西海酒造さんのもう一つの特徴は、自家水田で生産した原料米を全量使用して、さらにそのお米を自社精米する事です。こうしてその水田毎のお米の出来具合に合わせた精米を行い少量仕込みでお酒を醸すという、こだわりの酒造りに取り組んでいる蔵元さんです。

西海酒造蔵元様

九代目蔵元の西海太兵衛さん(写真右側)と栄一郎さん

※:酒造株とは

幕府がお酒に対して課税する為に発行する木札あるいは書類です。これを所有する事で営業上の特権(要はお酒を造って売ることが出来る)が得られるのですが、その一方で消費するお米の量の上限(酒造株高)はその株毎に決められています。新規に取得する事は難しかったので、たくさん造りたい酒蔵は、造るのをやめた人からその酒造株を買って上限を増やしたりしていました。また、新たに商売として始める人も同じ様に休造していた蔵の酒造株を買いました。

 

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