兵庫県で2例目の、清酒地理的認証「GI はりま」が指定されました。

GIはりま

GIはりま マーク

日本酒の地理的表示(GI認証)の5例目として、「はりま」が、令和2年3月16日に指定されました。兵庫県では昨年指定された「灘五郷」に続き2例目です。

GI認証の基準を満たさない清酒の商品名や商標には、「はりま」(漢字・ローマ字表記を含む)を使用する事は出来なくなります。※

GIはりまのマークは、はりまが日本列島のほぼ中央に位置し、酒造好適米山田錦発祥の地であることから日の丸と山田錦を表現しています。稲穂が右に繋がっているのは山田錦を通して人や世界へ繋がってゆく姿勢を。またお城は世界遺産の姫路城を始めとして多くのお城がこの地に在ったことを表しているそうです。

吉川町山田錦

酒質の特性

兵庫県で生産された酒米の「山田錦」を用いて健全に育成された麹を使用する事により、心地よい酸味が付与された後味が軽快な酒質で、総じて口当たりが優しく丸みがあり、繊細なコクと豊かな香味のふくらみを有し、喉ごしの良い酒質とされる。

気候風土

中国山地を水源とする市川、揖保川千種川、夢前川などの河川により、その流域に穀倉地帯が広がり、この地で酒米品種の「山田錦」が開発されました。この地域は、稲穂が実る時期には六甲山系が南からの温かい空気を遮り、1日の気温差が大きくなることやミネラル分の多い粘土質の地質が生育する山田錦の心白や脂肪・タンパク質の少なさに良い影響を与えています。また、中国山地に由来した鉄が少なく適度なミネラル分を含む水を仕込み水として用いることができます。

歴史と人的要因

奈良時代に編纂された「播磨国風土記」に現在の酒造りの原型とも言える、麹カビを用いて原料米の糖化する酒造りの記録があり、また江戸時代に栄えた灘五郷へ播磨杜氏が多く出稼ぎで働いたなどの背景から、江戸時代後期には多くの酒蔵が開業しました。
昭和3年には、日本で唯一の酒米専門研究機関である「兵庫県酒米試験地」が開設され、昭和11年に「山田錦」が誕生し、現在に至るまで山田錦の原種を護持しています。

原料及び製法

原料は米及び米麹に兵庫県で収穫した山田錦(主要農作物種子生産条例に基づく審査済みの種子から栽培して収穫したもの)のみを用い、水に産地(※)の範囲内で採水した水のみを用いたものであること。アルコール添加を行う場合は麹を含む米の重量の100分の50を超えない事。製法としては、産地(※)の範囲内おいて清酒として製造されたもの、かつ製造工程及び貯蔵、容器詰めは産地(※)の範囲内で行う事となっています。

※:産地とは以下の地域を指します。
兵庫県姫路市相生市加古川市赤穂市西脇市三木市高砂市、小野市、加西市宍粟市加東市たつの市明石市、多可町、稲美町播磨町、市川町、福崎町、神河町、太子町、上郡町及び佐用

GI「はりま」 認証銘柄

現在は未だ認証銘柄は発表されていませんが、五月連休明け位には商品が店頭に並びそうです。

※:以前より商標に「播磨」を使用していた、「奥播磨」「播磨路」は引き続きこの商標の使用が認められています。

管理機関

はりま酒研究会(姫路酒造組合内)

 

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日本酒を世界に紹介する、英語版ウエブサイト開設!

Welcome to Japan Sake World!

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このたび、日本酒ポータルサイトの姉妹サイトとして、日本酒を海外に紹介する英語版ウエブサイトを開設しました!

日本酒の歴史や文化的な背景、種類や飲み方など、分かりやすくシンプルに説明したいます。

英語がイマイチ…。っていう方も、Googleで開けば自動翻訳されますよ!(ちょっと日本語は変になりますけど)

ぜひ一度ご覧ください! ⇩

Japan-Sake-Tourism (Welcome to Japan-Sake World)

 

 

新型コロナウイルス感染症対応(期限付酒類小売業免許)について紹介します

期限付酒類小売業免許

国税庁より、新型コロナウイルス感染症に対する施策として、酒類を店舗にて提供していた飲食店が在庫酒類をテイクアウト用に販売したい場合、新たに「期限付酒類小売免許」を設け付与することとするそうです。

 

期限付酒類小売業免許の趣旨

飲食店の店舗内での飲用用に酒類を販売する為には酒販免許は必要ありませんが、通常店舗外での飲用用には酒類小売免許が必要になります。しかし、現在流行している新型コロナウィルス感染症により、飲食業界が大きな影響を受けており、これに対して飲食店が在庫酒類のテイクアウト販売により資金確保を図るものについては、今回敏速な手続きで期限付酒類小売免許を付与するというものです。

期限付酒類小売業免許の概要

・対象は、飲食店が自己の店舗にて在庫酒類のテイクアウト販売を行う場合。

・従来の酒類小売免許より簡単な手続きで敏速に付与される。

・申請は、今年の6月30日まで。

・免許の期限は6ヶ月間。

注意事項

自治体から各種要請がある場合は、これに従わねばならない。

・一般の酒類小売業免許と同様に、酒類仕入れ・販売について帳簿に記帳する義務が
あり、また販売数量の報告等を行う必要がある。

・販売できる酒類は、在庫及び既存の取引先からの仕入先に限る。

・インターネットや通信販売により2都道府県以上にまたがる販売は出来ない。

・販売管理者を置く必要がある。

※ 詳しくは各地域の税務署(酒類指導官設置署等)へご相談ください。

ご参考までに国税庁の関連サイトのアドレスを紹介します。

https://www.nta.go.jp/taxes/sake/kansensho/index.htm#jigyousha

 

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西海酒造さんでも新酒の仕込みが始まりました!

西海酒造さんは、11月末から麹造りに取り掛かり、新年にかけて仕込み作業を行なっています。

精米後のお米の枯らし

精米したお米は枯らしといって、暫く倉庫で寝かし品温を下げます。これは精米する際に、米が精米機の中のロール(砥石)で強く擦られる為に熱を持っているので、冷たい仕込み水との温度差が大きいと米が割れてしまう為です。

今年は米の刈り取りが台風の影響で遅くなった為、枯らしの時間が少し短くなってしまったとの事。枯らしの期間の長さで水分の含有量も変わるので、元々の米の水分含有量と合わせて原料処理の手順を調整します。

原料処理(原料米の下ごしらえ)

麹米にも掛け米にも蒸米を使用しますが、特に良い麹米を作る為には、外硬内軟の蒸米にする必要があります。その為に、上手に蒸しあがるように精米したお米を、糠を落とす洗米の後、水に浸して吸水(浸漬)させます。このとき原料の米の作柄や枯らし期間によって吸水の歩合が異なってきます。また、仕込み水の水温によっても変わってくるので、これらを勘案して米の洗米から浸漬の時間を杜氏さんは決めています。浸漬の時間は非常にデリケートなのでストップウォッチで時間を計り、時間になるとタライから米を引き上げ水を切ります。

 

浸漬の準備 浸漬の準備 (仕込み水でタライに水をはります)

洗米 洗米機で洗って糠を落とします

浸漬 浸漬時間を間違えない様に、袋ごとに木札を付けます

 

浸漬・水切り 所定時間浸漬させた後は、余分の水を切ります

 

蒸し・放冷

浸漬を終えた米は甑で蒸します。西海酒造さんでは和釜で起こした蒸気を用いています。

 

甑 和釜からの蒸気は甑の上部から導入されてお米を蒸し上げます

 

和釜 昔はこの和釜の上に甑が載っていましたが、現在は蒸気を起こすのに使っています

 

甑 甑に浸漬して水を切ったお米を敷き詰めていきます

 

蒸す前のお米 蒸す前のお米はこんな感じ

 

蒸し上がったお米は甑から掘り出し、放冷機で蒸米をほぐしながら冷まし、狙いの品温まで下がったら麹室へ引き込み一晩寝かします。

 

蒸米の放冷 蒸米を放冷機に移します

 

放冷機 西海酒造さんでは放冷機の上で蒸米をほぐします

 

引き込み〜製麴

一晩寝かせた蒸米は、床揉みをして蒸米をほぐし、種麹を振り品温を管理しながら保温します。後で述べる様に、通常の切り盛り作業と違う麹造りの方法を行いますので、引き込みから床揉みまでの時間も通常より長く取って、蒸米を乾燥させています。

 

麹米の引き込み 麹米を麹室に引き込みます

引き込み 引き込んだ蒸米は一晩寝かせます

今回は筆者も床揉み作業を手伝わせていただきましたが、その為、写真を撮ることが出来ませんでした。(室の中の温度は33℃もあるので、そもそもカメラは持ち込んだ途端、温度差でレンズが曇って使い物になりませんでしたが…)

通常の床揉みは引き込んでからの時間が短いので、蒸米の品温が高く熱いので中々狙いの品温(お米の種類にも依ますが大体30℃前後)まで下がりません。また蒸米が粘ってダマになる為、床揉み作業は重労働です。しかし、西海酒造さんの方法は蒸米が乾燥しているので随分と楽です。が、やはり腰をかがめて作業する為、腰が痛くなるので重労働には違いありません。

西海酒造さんでは上田酒造綜合研究所の上田護國(もりくに)先生の指導による、通称タライ麹で麹を作ります。その為、上に書きました様に最初に蒸米を十分乾かしてから種麹をふり、品温も通常より高い44℃〜45℃になるようにコントロールして麹を育てます。参考までに、西海酒造さんでは麹米は全て山田錦を使用しています。

床揉み後、通常より長く約15時間ほど置き蒸米の米をほぐす、切り返しを行い、時間をおかず引き続き盛りを行います。その際に乾燥しすぎないようにタライに盛り、突きは破精(はぜ)を狙って麹を育てます。

 

出麹 室から出して麹菌がこれ以上繁殖しない様に冷まします。これを出麹と言います

 

酛立て

今回残念ながら、酛立ての作業は日程が合わず立ち会うことが出来ませんでした。

酛立ては乳酸菌の力を借り優良な酵母を沢山培養して、仕込みの元となる酒母(文字通りお酒のお母さん)をつくる工程です。西海酒造さんでは一般的な速醸元という純粋培養の乳酸菌を用いる方法で酒母をつくります。その他に生酛造りや、その一つである山廃仕込みを行う蔵元さんもあります。

 

酒母 麹米と仕込み水、乳酸菌、酵母を加えて酒母をつくります。(この写真は参考までに他の蔵で撮影したのものを使用しています)

仕込み

西海酒造さんでは今シーズンは合計5本の仕込みを計画されており、内3本を12月中に仕込みました。内訳は中桶で純米大吟醸大吟醸が一本ずつと大桶で本醸造です。残り2本はワイン酵母を用いたものを最後に醸造します。仕込みとは、酒母に麹米と添え米と仕込み水を通常4日間で3回に分けて加えて(三段仕込み)、酵母の発酵を促し醪を造ってゆく工程です。

 

仕込み 仕込み作業 (この写真は添え米を仕込んでいるところ)

今シーズンは暖冬で、夜でも中々10℃を下回らない日が続いたため、特に大吟醸酒の仕込みには厳しい環境でした。仕込みタンクには冷水チューブが巻いてあり、冷凍機で冷やした水を流して何とか醪の温度を下げますが、どうしても下がらない場合は氷を入れるなどして目標の7℃以下まで下げ、ゆっくりと醪を発酵させてゆきます。

 

大吟醸仕込みタンク 暖冬なので、大吟醸仕込みタンクは冷水の流れるチューブで冷やしています

 

櫂入れ 添えの蒸米を投入した後は、櫂入れをして撹拌します

上槽

最初の仕込みから約4週間経ち、本醸造の大桶の上槽に立ち会わせて頂きました。仕込みタンクの呑み口から醪をポンプで汲み出し、搾り機に掛けます。

西海酒造さんでは、佐瀬式の一種で姫路の八重垣酒造さんが考案した八重垣式の搾り機を使用しています。写真の様に、アルミの圧搾板の間に専用の酒袋が挟んであり、ここに醪を注入してゆきます。

 

八重垣式圧搾機 酒袋に注入された醪から液体(清酒)が染み出して下へ垂れて行きます

下の袋から順に注入してゆくと、圧搾板と醪の自重で醪の入った酒袋から液体が染み出しきて、これが清酒になります。全ての酒袋に醪が注入されて最初に槽口(ふなくち)から出てくるのは荒走りと呼ばれ、末だ少し濁っており荒い味わいです。暫くすると濁りが殆ど無くなった液体が出てきますが、これは中取りとか中汲みと呼ばれ、味わいも落ち着いた物になりフレッシュな香味のお酒になっています。

 

荒走り 荒走りのお酒はそのままでは少し濁っています (写真を撮り忘れてしまったので、参考までに他の蔵で撮影したものを使用しています)

中取り 滓引きしていないですが、中取りのお酒はほぼ澄んでいます

このまま圧搾機に掛けて一晩自重で搾ります。ここまでで凡そ5割くらいの量が搾れます。翌日は酒袋の上に圧搾用の木枠を載せて一日その重さで搾ったのち、更に翌日、油圧を上部から掛け一日掛けて搾ります。この後半の重さや圧力を掛けて搾る部分をこちらでは責めと呼んでいるそうです。ヤブタ式自動圧搾機だと1日で搾れてしまいますが、佐瀬式では搾るだけで3日間も掛かります。

こうして搾られたお酒は貯蔵用のタンクに移され、約3ヶ月間、火入れまで熟成させます。

 

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西海酒造 自社田育成山田錦、等級審査を終え精米中!

等級審査〜精米

春から取材させて頂いている西海酒造さんでは、兵庫北錦に引き続き。山田錦の刈り取りからおよそ1ヶ月経ちました。
刈り取ったお米は、どちらもすでに等級審査を終えていました。

西海酒造さんでは特定名称種しか醸造していませんので、全てのお米は等級審査を受けます。

特定名称種を名乗るには? 酒米の等級審査とは?

特定名称種を名乗るための条件は、麹歩合やアルコール添加量などのほかに、使用するお米についても制限があります。これは、例えば酒造好適米でないとイケナイといった事では無くて、等級審査(※)を受けて3等以上のお米を使用する事が決められているのです。

お米の等級はお米の外観(整粒歩合)で決まります。収穫された玄米の内、熟していない米や発芽したり虫に喰われた米、着色している米、籾などの異物などの含まれる割合によって3等から特等、特上の5等級に分類され、これらの割合が少ないほど上位になります。この規格に入らない砕米や屑米などを等外米、更に等外からも外れたものは、規格外米、特定低品位米と呼ばれます。

等級審査?級別審査?

※:よく「等級審査」とか「級別審査」と言われますが、実はこれらの名称はありません。正しくは、農水省が制定している「農産物産物検査」です。その中に「玄米の検査規格」があって、玄米の品位を判定する基準があり、玄米には「水稲うるち玄米及び水稲もち玄米」「陸稲うるち玄米及び陸稲もち玄米」「醸造用玄米」の3つの検査規格があります。

本コラムでは、分かり易い様に、あえて「等級審査」という言い方で記述しました。

 

西海酒造酒造用米R1BY用

今年のお米は兵庫北錦のは良くできたのですが、山田錦は最後の最後で台風の被害を受けたので、少し良くなかった様です。

 

酒米の精米

今回伺った時は、ちょうど山田錦の精米中でした。精米機は、現在杜氏を勤められている蔵元の息子の英一郎さんが子供の頃から稼働しているもので、かなり骨董品とのことですが、ちゃんと仕事はこなしてくれます。

西海酒造精米機

 

 

いま精米している山田錦は現時点では精米歩合50%ですが、これから45%まで磨いて、麹米に使用するとのこと。
すでに心白に近い事から米が脆く砕けやすくなっており、更に5%精米するには、ゆっくりすこしずつ削ってゆく為に、あとまる1日を要するそうです。

 

西海酒造山田錦精米歩合50% 山田錦精米歩合50%。更に45%まで磨きます

 

こちらの蔵元さんでは心白が中心に残る様に、お米の形に楕円形に削っていきます。

 

山田錦玄米 山田錦玄米

兵庫北錦は掛け米にのみ使用しますが、こちらの精米歩合は60%です。兵庫北錦は心白がおおきく、砕け易いので、高精白には向かないとのこと。

 

兵庫北錦 兵庫北錦精米歩合60%

兵庫北錦玄米 兵庫北錦玄米

精米と併行して、蔵では麹造りや仕込みにむけてタンクの点検や消毒など、準備が着々と進んでいます。

2週間ほど後には、いよいよ酒造りの最初の山場、麹造りがはじまります。

 

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台風の影響で山田錦の稲刈りが大変!

9月末の山田錦

9月末ごろになると山田錦もかなり稲穂が実り頭を垂れています。右奥は兵庫北錦はの田んぼですが、早生の品種なので一週間前に稲刈りが終わっています。

西海酒造田んぼ9月末

晩生品種の山田錦はまだ実が十分熟しておらず、刈り取るのは二週間くらい後の10月半ばの予定です。

 

 

西海酒造田んぼ山田錦ノボリ

山田錦の田んぼにはノボリが立ててあり、西海酒造さんの酒米を育てている目印になっています。

山田錦の名産地の三木市内などで、各蔵元さんの指定農家の田んぼでよく見かける光景です。

 

台風19号襲来

関西は台風進路から外れたとはいえ、超大型台風の暴風は田んぼに大きな影響を与えていました。

西海酒造田んぼ台風19号

9月末にお伺いした時には、今年は台風が少なくて助かったと話してくれた蔵元さんですが、10月に入って、東日本に甚大な被害を与えた台風19号の風が兵庫県はかなり強く、山田錦は全て倒れてしまいました。しっかり茎が太く育っているので折れてはいませんが、大きくシナリ、田の縁の稲は土に触れてしまっています。この状態だと籾が発芽してしまうため心配です。

 

いよいよ山田錦の稲刈り

 

台風で倒れた山田錦を刈り取るのは大変で、特に雨などで濡れているとコンバインの内部で稲が詰まってしまうため、晴れている日にしか稲刈りはできないそうです。ここからは時間とお天気の勝負なので早く稲刈りをしたかったそうですが、生憎とお天気の悪い日が続き、刈り取りが出来たのは前回伺ってから一週間たってからでした。

 

やはり発芽している!

雨が続いた事もあって、土に触れていた稲穂は以前に聞いていた通り僅か一週間で発芽してしまっています。この籾は使えないそうです。

倒れた山田錦 発芽

 

倒れた山田錦の刈り取り

倒れた稲を刈り取るのは機械にかかる負荷が高いので慎重にコンバインを進めますが、度々手入れをしてやる必要があり、とても時間のかかる作業になってしまいました。

なんとかこの田んぼはその日のうちに、もう一つの田んぼも翌日中に刈り取りが終えられそうだと言うことでした。

そして刈取りが終わった次の日は天気予報通りの雨。農家さんの苦労がしのばれる取材となりました。

 

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早生と晩生の稲の開花時期ははどの位違うか?

酒米の晩生品種・早生品種

酒米に使われるお米の品種には、晩生(おくて)品種・早生(わせ)品種が有るということは、聞いたことがあると思います。(さらにその間の中手(なかて)も有ります)

晩生品種の代表は、山田錦や雄町など。早生品種の代表は五百万石や兵庫北錦などがあります。亀の尾や美山錦は中手品種になります。

 

稲はご存知の様に東南アジアが原産の暖かい気候に適した植物で、夏至を過ぎて日照が短くなり始めた頃に穂をつけ開花する植物です。ですから、晩生の品種が元々の姿に近いわけですが、それでは寒冷な地域では開花してから実が熟すまでに時間が足りないので、品種改良されて早生品種ができました。

 

早生品種というのは早く開花して実がみのる品種ですが、夏至を境に穂が育つ晩生品種と異なり、具体的には累積の温度で穂を出し開花します。

 

さて、私の取材させてもらっている蔵元(西海酒造)さんの田んぼでは、晩生品種の山田錦と早生品種の兵庫北錦は隣同士に育っています。

 

なかなか直接比較して見ることも少ないと思いますので、比較してみましょう。

ちなみに田植えは同じ日に行っています。

 

 

兵庫北錦 開花     

兵庫北錦 開花

8月半ばの頃には、早生の兵庫北錦は稲穂が開花しています。山田錦夏至になってから稲穂が育ち始めるため、まだ稲穂が見られませんが株はかなり増えているのが分かります。あまり株が増えすぎると稲穂への栄養が行き渡らないので、増やし過ぎないのも米作りのテクニックだそうです。

 

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山田錦(まだ稲穂が出ていない)

 

9月上旬になると山田錦も稲穂が育ち、開花し始めています。

山田錦 開花

山田錦 開花

 

兵庫北錦( 9月 )

兵庫北錦( 9月 )

一方で、この頃には兵庫北錦は実が育ち、すでに稲穂が頭を垂れています。

 

西海酒造田んぼ 9月上旬

中央の畔を境に、向かって左側が山田錦、右が兵庫北錦です。成長の違いがよく分かりますね!

一般に早生の品種と比べると、晩生品種の山田錦は刈り取りが1ヶ月くらい後と聞きますが、その通りであることがわかると思います。

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